一周忌の集まりで実家の話になったものの、「まだ住めるから大丈夫」「いや、もう限界だと思う」ときょうだいの間で意見が食い違ったまま終わってしまった――老朽化した木造の実家では、こうしたすれ違いがよく起こります。今回は、一周忌という節目に、老朽木造の実家についてきょうだいでどう話し合い、どう判断していくかを、データを交えてお伝えします。
意見が違うこと自体は、決して珍しいことではありません。今日の時点で結論を一致させる必要はなく、まずはそのズレがどこから来ているのかを整理するところから始めても十分です。
一周忌に、老朽化した実家をめぐって意見が分かれるとき
「傷んでいるのは分かっているけど、きょうだいそれぞれ感じ方が違う」
実家の老朽化は、実際に足を運ぶ頻度によって受け止め方が変わりやすいテーマです。近くに住み定期的に様子を見ているきょうだいと、たまにしか訪れないきょうだいとでは、「もう危ないと思う」「まだそこまでではない」と感覚に差が出ることも珍しくありません。
一周忌のように全員が顔を合わせる機会は、この感覚のずれに気づく数少ないタイミングでもあります。ただし、その場で結論を出そうとすると、意見の違いがそのまま対立に見えてしまい、かえって話が進まなくなることもあります。
例えば、月に一度実家に顔を出しているきょうだいにとっては「もう危ない」と感じる傷みが、年に一度しか訪れないきょうだいには「言われてみればそうかもしれない」程度にしか映らない、ということもあります。どちらの感覚が正しいというより、見ている頻度が違えば感じ方が違って当然だ、という前提を共有しておくことが、話し合いの入り口になります。
他の人はどうしているか
「うちだけが揉めているわけじゃないんだと分かって、少し気が楽になった」
国土交通省の調査によると、相続前に何らかの対策を実施していた世帯は全体の2割強にとどまり、大半は特に対策をしないまま相続を迎えています。
| 相続前の対策 | 割合 |
|---|---|
| 対策あり | 23.0% |
| 対策なし | 77.0% |
※出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント
対策があった世帯でも、その内容の多くは「被相続人との話し合い」(16.7%)にとどまり、特別な準備をしていたわけではありません。逆に言えば、建物の状態や今後の方針について一言でも話しておくこと自体が、後々の意見の食い違いを減らす一歩になっているようです。
似たケースとして、老朽化した木造住宅をどう手放したかをまとめた事例(【築40年・老朽化】七尾市の空き家を売るには?売却相場・補助金・手放し方を解説)も、判断の参考になります。
こうした事例に共通するのは、感覚のずれを議論で解消しようとするのではなく、査定額など数字で共有し直したことがきっかけになっているケースが多いという点です。「もう限界」「まだ大丈夫」という主観的な言葉ではなく、共通の物差しを一つ持つことが、話し合いを前進させています。
老朽木造を、意見がまとまらないまま放置するリスク
「決めきれないまま、また1年が過ぎるのかな」
老朽木造の空き家は、意見がまとまらず判断が先延ばしになっている間にも、建物そのものが傷み続けます。国の調査では、所有者が抱える維持管理上の心配事として、次のような項目が挙げられています(複数回答)。
- 住宅の腐朽・破損の進行:43.1%
- 樹木・雑草の繁茂:33.0%
- 地震・台風・豪雪などによる損壊・倒壊:32.4%
- 不審者の侵入や放火:29.4%
※出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント
意見の違いを理由に話し合いそのものを避けてしまうと、建物の傷みだけが進み、いざ売却や解体を検討する段階になったときには、当初より修繕・解体費用がかさんでいる可能性があります。話し合いを先延ばしにすることと、建物の劣化が進むことは、同時に起きているという点を意識しておく必要があります。
また、意見がまとまらないまま名義人が亡くなり次の相続が発生すると、判断すべき相続人の数が増え、話し合いはさらに複雑になります。「まとまらない」状態を先送りにするほど、後から関わる人の数も増えていくという点は、見落とされがちなリスクです。
一周忌のタイミングで話し合うメリット・デメリット
「今日、無理に結論を出さなくてもいいのかもしれない」
一周忌のタイミングで話し合うメリット
- 全員が実家の現状を直接見られる、数少ない機会になる
- 査定額など客観的な情報を共有すれば、感覚のずれをすり合わせやすい
- 建物がこれ以上傷む前に方針を共有できれば、選べる選択肢の幅が広がる
- 意見の違いを前提に話せば、対立ではなく確認として受け止めやすくなる
一周忌のタイミングで話し合うデメリット
- 法要の場で結論を急ぐと、感覚のずれが対立に発展しやすい
- 一部のきょうだいだけで話を進めると、後から不満が出ることがある
- 「まだ大丈夫」という意見と「もう限界」という意見が平行線のままになりやすい
- 数字で示された現状を、感情的に受け止めにくいきょうだいがいる場合もある
今後の選択肢
「全員が同じ意見にならなくても、進められる方法はあるのかな」
老朽木造の実家について、きょうだいの意見が割れている場合でも、選べる道はいくつかあります。
- 結論を急がず、まずは現状の査定額だけを共有し判断材料にする
- 修繕・解体・売却それぞれの概算費用を並べて比較する
- 意見がまとまらない部分は保留にし、まとまった範囲から手続きを進める
- 第三者(不動産会社や専門家)に間に入ってもらい、客観的な情報を共有する
この中でも特に効果的なのが、第三者に間に入ってもらい、客観的な情報だけを共有するという方法です。きょうだい同士だと感情的になりやすい話も、専門家からの説明という形であれば、冷静に受け止めやすくなる場合があります。
お住まいの地域によっては、都道府県別の相談窓口も参考になります。(福岡県の空き家売却相談窓口など)
今後の具体的なアクション
「まずは事実を揃えてから、もう一度話したい」
老朽木造の実家について、次の法要までにできることは限られていません。まずは判断材料を揃えるところから始めてみてください。
- 建物の劣化状況を、きょうだい間で共有できる形(写真など)にしておく
- 現状のままでの売却査定額と、修繕・解体費用の概算を確認する
- 意見が割れている点と、一致している点を整理しておく
- 話し合いの場に第三者(不動産会社等)を交える案も検討しておく
- 一人で抱え込まず、不動産会社など第三者に相談する
老朽化
ボロボロで倒壊寸前の家でも、現状のまま解体せず売却可能です。
事前の解体費用を自腹で払う必要はありません。現状のまま引き取ってくれる専門業者が存在します。
- 業者が買い取った後に一括解体するため、個人で動くより安く収まる
- 柱や基礎が無事なら、リフォームして再販するルートがある
- 更地にして「新築用の土地」として販売する土地需要が高い
- 自力で解体すると、高額な解体費用(数百万円)の持ち出しが発生する
- 解体して更地にすると、固定資産税の減税優遇がなくなり税金が最大6倍に
- 放置しすぎると、行政から強制解体され費用を全額一括請求されるリスクあり
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実家のことは、これからも節目ごとに向き合うことになります
一周忌が終わっても、実家の問題がなくなるわけではありません。多くの方が、次のような節目でまた実家のことを考えることになります。
法要以外にも、こんな機会に実家のことを思い出す方が多いようです
建物の状態や権利関係など、ここで触れきれなかった悩みについては、
あなたの状況から探すのページでも詳しく整理しています。
まとめ
「意見が違っても、事実は一つ。そこから話せばいい」
老朽木造の実家をめぐるきょうだいの意見の違いは、感覚の差から生まれていることが少なくありません。一周忌で結論を出す必要はありませんが、建物の状態や費用の目安といった客観的な情報を揃えておくことが、次に話し合うときの助けになります。動くなら、今日が一番損の少ない日です。
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