一周忌を終え、実家に残る古い木造の建物のことが、ふと気になり始めた方もいるのではないでしょうか。誰も住まなくなってから月日が経つほど、老朽化は静かに進んでいきます。今回は、一周忌という節目に、老朽木造の実家をどう見極め、どう判断していくかを、データを交えてお伝えします。
「まだ住める」「もう限界」を今日決める必要はありません。まずは、今の建物がどのくらい傷んでいるのか、客観的な事実を把握するところから始めても十分です。
一周忌に、実家の古さと向き合うとき
「久しぶりに実家に行ったら、思っていたより傷みが進んでいて驚いた」
一周忌で久しぶりに実家に立ち寄ると、外壁のひび割れや雨どいの傷み、庭木の伸び具合など、日常的に見ていなかった変化に気づくことがあります。木造住宅は、人が住まなくなると換気や通水が止まり、想像より速いペースで劣化が進みやすい建物です。
この段階では「まだ大丈夫そうだ」と感じても、老朽化は目に見えるところだけで止まっているとは限りません。判断すべき当事者として、まずは実家の状態を客観的に把握しておくことが、今後の選択肢を広く保つことにつながります。
例えば、外壁のひび割れは表面的な劣化に見えても、内部の柱や土台にまで湿気や腐食が及んでいることがあります。目に見える傷みは、氷山の一角にすぎない場合が少なくありません。
一周忌のタイミングで実家を訪れることができたなら、外観だけでもチェックしておく価値があります。雨どいの詰まりや基礎周りのひび割れ、床の傾きなど、素人目にも分かる変化があれば、それは専門家に相談する目安になります。
他の人はどうしているか
「同じように古い実家を抱えている人が、他にもたくさんいるんだ」
国土交通省の調査では、空き家の維持管理について所有者が感じている心配事を複数回答でたずねています。
| 維持管理での心配事 | 割合 |
|---|---|
| 住宅の腐朽・破損の進行 | 43.1% |
| 樹木・雑草の繁茂 | 33.0% |
| 地震・台風・豪雪などによる損壊・倒壊 | 32.4% |
| 不審者の侵入や放火 | 29.4% |
| 動物の棲みつき | 14.9% |
| 心配事はない | 21.1% |
※出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント
「住宅の腐朽・破損の進行」を心配事の第一に挙げる所有者が4割を超えていることからも、老朽木造の空き家では建物の傷みそのものへの不安が大きいことがうかがえます。
似たケースとして、老朽化した木造住宅をどう手放したかをまとめた事例(【築40年・老朽化】川口市の空き家を売るには?売却相場・補助金・手放し方を解説)も、判断の参考になります。
こうした事例の多くに共通するのは、「解体してから売るか」「そのまま売るか」を早い段階で比較検討していたという点です。老朽木造の場合、判断が遅れるほど選べる売却方法の幅が狭まっていく傾向があります。
老朽木造を放置するリスク
「今すぐ何かが起こるわけじゃないから、と後回しにしてきた」
木造住宅は、人が住み続ける場合に比べて、空き家になると劣化のスピードが上がりやすいと言われています。屋根や外壁からの浸水、シロアリなどの被害は、放置している間は気づきにくく、修繕が必要になったときには工事の規模も費用も大きくなっている場合があります。
維持費についても、年間10万円以上の費用がかかっている所有者は合計で約3割にのぼり、「費用はかかっていない」という所有者は11.2%にとどまります。老朽化が進むほど、修繕や解体にかかる費用も膨らみやすく、建物の傷みと維持コストは並行して増えていく傾向があります。
また、老朽化が進み倒壊等のおそれがあると自治体に判断された場合、固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が増える制度(いわゆる特定空家等の指定)もあります。ただし、この制度の対象となる空き家はごく一部にとどまるため、税額への影響については税理士に確認することをおすすめします。
建物の傷みが進むと、通常の不動産仲介では買い手がつきにくくなり、解体前提の土地としての売却や、老朽物件を専門に扱う買取業者への相談が必要になる場合もあります。判断が早いほど、選べる売却方法の選択肢は広く残ります。
一周忌のタイミングで売却を考えるメリット・デメリット
「今、動くべきなのか、もう少し様子を見るべきなのか」
一周忌のタイミングで売却を考えるメリット
- 建物の劣化がこれ以上進む前に、査定など客観的な現状把握ができる
- 修繕・解体が必要になる前に判断すれば、選べる選択肢の幅が広い
- 親族が実家の状態を意識している一周忌のタイミングは、方針を共有しやすい
- 早めに動けば、通常の仲介など選択肢の多い売却方法を検討できる
一周忌のタイミングで売却を考えるデメリット
- 法要と重なる時期は、家の状態をじっくり確認する時間を取りにくい
- 老朽化の程度によっては、査定前に簡易な調査や見積もりが必要になる場合がある
- 思い出のある実家を手放す判断は、心理的な負担を伴うことがある
- 解体費用の見積もりまで含めると、判断材料が揃うまでに時間がかかることがある
今後の選択肢
「壊すのか、直すのか、売るのか。まだどれも決めきれていない」
老朽木造の実家について、当事者として選べる道はいくつかあります。
- 最低限の修繕をしながら、そのまま保有を続ける
- 解体して更地にし、活用または売却を検討する
- 現状のまま(古家付き土地として)売却を検討する
- 結論を急がず、まずは現状のままでの査定額だけ確認しておく
特に押さえておきたいのが、「現状のまま売却」と「解体してから売却」を、金額で比較してから決めるという視点です。解体費用をかけた方が高く売れるとは限らず、老朽木造の物件をそのまま買い取る専門業者も増えています。どちらが有利かは、実際に査定を受けてみないと分からない部分が大きいものです。
また、解体には数十万円から百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。解体してから売れなかった場合のリスクも考えると、解体を先に決めてしまうより、査定を先に済ませておく方が判断を誤りにくいといえます。
お住まいの地域によっては、都道府県別の相談窓口も参考になります。(徳島県の空き家売却相談窓口など)
今後の具体的なアクション
「まずは今の状態を、正しく知ることから始めたい」
老朽木造の実家について、次の法要までにできることは限られていません。まずは現状を把握するところから始めてみてください。
- 屋根・外壁・水回りなど、目に見える劣化状況を確認する
- シロアリ・雨漏りなど、専門業者による点検の要否を検討する
- 現状のままでの売却査定額を確認し、解体費用と比較してみる
- 老朽物件の買取実績がある業者もあわせて調べておく
- 一人で抱え込まず、不動産会社や解体業者に早めに相談する
老朽化
ボロボロで倒壊寸前の家でも、現状のまま解体せず売却可能です。
事前の解体費用を自腹で払う必要はありません。現状のまま引き取ってくれる専門業者が存在します。
- 業者が買い取った後に一括解体するため、個人で動くより安く収まる
- 柱や基礎が無事なら、リフォームして再販するルートがある
- 更地にして「新築用の土地」として販売する土地需要が高い
- 自力で解体すると、高額な解体費用(数百万円)の持ち出しが発生する
- 解体して更地にすると、固定資産税の減税優遇がなくなり税金が最大6倍に
- 放置しすぎると、行政から強制解体され費用を全額一括請求されるリスクあり
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実家のことは、これからも節目ごとに向き合うことになります
一周忌が終わっても、実家の問題がなくなるわけではありません。多くの方が、次のような節目でまた実家のことを考えることになります。
法要以外にも、こんな機会に実家のことを思い出す方が多いようです
建物の状態や権利関係など、ここで触れきれなかった悩みについては、
あなたの状況から探すのページでも詳しく整理しています。
まとめ
「今日決めなくてもいい。でも、今日知ることはできる」
老朽木造の実家は、時間が経つほど傷みが進み、修繕や解体にかかる費用も増えていく傾向があります。一周忌という節目に結論を出す必要はありませんが、現状を把握し、選べる選択肢を確認しておくことが、次の判断を後悔のないものにする一歩になります。動くなら、今日が一番損の少ない日です。
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