一周忌は、法要のために親族が集まり「実家、これからどうする」という話が自然に出る、数少ない機会です。ただ、相続未登記の実家の場合、名義変更そのものより先に「誰が」「どうしたいか」できょうだいの足並みが揃わず、動けなくなっているケースが少なくありません。
このページでは、一周忌という節目に、意見が割れたままの相続未登記の実家をどう前に進めていくかをお伝えします。
一周忌を迎えて、意見がまとまらないとき
「自分は売った方がいいと思うけど、兄弟は残しておきたいと言っている」
一周忌は、久しぶりにきょうだい全員が顔を合わせる機会です。ただ、それぞれの生活状況や実家への思い入れが違う分、「そろそろ決めよう」と言い出しても、すぐに意見がまとまるとは限りません。
誰か一人が強く主張すると角が立つし、かといって黙っていても状況は変わらない。そんなもどかしさを感じている方は多いはずです。
他の人はどうしているか
「うちだけがまとまらないわけじゃないのかな」
国土交通省の調査によると、相続前に何らかの対策を実施していた世帯は全体の2割強にとどまり、大半は対策なしのまま相続を迎えています。
| 相続前の対策 | 割合 |
|---|---|
| 対策あり | 23.0% |
| 対策なし | 77.0% |
対策の内容としては、以下の順に多く挙げられています。
- 被相続人との話し合い:16.7%
- その他の対策:4.3%
- 遺言の作成支援:1.8%
- 後見制度や家族信託の活用:1.3%
※出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント
対策の1位が「話し合い」であることからも分かる通り、相続でつまずきやすいのは手続きそのものより、事前にきょうだい間で意思疎通ができていたかどうかです。逆に言えば、一周忌の時点で意見が割れているのは特別なことではなく、多くの家庭が通る過程だとも言えます。
似たような状況で、複数の相続人が関わる実家をどう扱ったかをまとめた事例(【築30年・二次相続】小樽市の空き家を売るには?)でも、意見の調整に時間がかかったケースが紹介されています。
意見が割れたまま放置するリスク
「話がまとまらないまま、ずっとこのままなのかな」
相続未登記のまま話し合いが長引くと、権利関係はさらに複雑になっていきます。相続人の誰かが亡くなれば、その子どもたちが新たな相続人として加わり、意見をまとめるべき人数がどんどん増えていきます。「今はまだ2人で話せばいい」状態が、数年後には「5人、6人で話さないといけない」状態になることも珍しくありません。
同じ調査では、相続前に対策をしていなかった空き家は、対策をしていた空き家に比べて「何もせずそのまま空き家として所有され続けている」割合が約1.5倍高いという結果も出ています。
| 相続前対策あり | 相続前対策なし | |
|---|---|---|
| 空き家のまま所有 | 29.4% | 45.1% |
| 買い手を募集していた | 13.1% | 7.5% |
※出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント(相続前対策有無別の利用状況)
「話し合いが済んでいない」状態は、そのまま「対策なし」の状態に近く、長期の空き家化につながりやすい傾向にあることがデータからも読み取れます。
2024年からは相続登記が義務化されており、期限内の申請が求められるようになりました。ただし、義務化の詳細な適用条件や罰則の有無は個別の事情によって異なるため、正確なところは司法書士に確認することをおすすめします。
一周忌のタイミングで話し合いを進めるメリット・デメリット
「急いで決めなくてもいいのか、でも先延ばしにしていいのか」
一周忌の場で無理に結論を出す必要はありません。ただ、このタイミングで一度メリット・デメリットを整理しておくと、次の話し合いがしやすくなります。
一周忌のタイミングで話し合うメリット
- きょうだい全員が顔を合わせる、数少ない機会である
- 話し合いのきっかけを作りやすい(法要という共通の理由がある)
- 早い段階で足並みを揃えておけば、相続人の増加による複雑化を防げる
一周忌のタイミングで話し合うデメリット
- 法要の場で結論を急ぐと、かえって対立が深まることがある
- 全員の意見が一致しないと、名義変更や売却の手続きが進まない
- 「誰が言い出すか」で気まずさが生まれやすい
まとめると、一周忌の場で無理に結論を出す必要はありません。まずは「みんなが今どう思っているか」を共有するだけでも十分な前進です。意見が完全に一致しなくても、次に何を確認すべきかだけ決めておけば、次の節目(三回忌など)での話し合いがしやすくなります。
今後の選択肢
「せめて、誰かが窓口になって進められないかな」
意見が割れている場合でも、進められることはあります。
| 選択肢 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 一人が窓口になり、情報収集だけ進める | 全員の合意はまだないが、誰かが動く必要がある | 独断で決めたと誤解されないよう、都度共有する |
| 第三者(専門家)を交えて話し合う | 家族間だけでは話が進まない | 司法書士や不動産会社を交えると、感情論になりにくい |
| 査定だけ先に取り、判断材料として共有する | 「売る・売らない」の議論が平行線 | 査定額という客観的な数字があると、話し合いが進みやすくなる |
特に3つ目の「査定だけ先に取る」は、意見が割れている場面で効果的です。「売るべきか」という抽象的な議論より、「実際いくらで売れるのか」という具体的な数字がある方が、きょうだい間の話し合いは前に進みやすくなります。
お住まいの地域によっては、地域特有の相談窓口が用意されている場合もあります。(鹿児島県の空き家売却相談窓口など、都道府県別の窓口情報も参考にしてみてください。)
今後の具体的なアクション
「何から手をつければ、みんな納得してくれるだろう」
意見がまとまっていなくても、一周忌のタイミングでできることはあります。まずは以下を一つずつ確認してみてください。
- 相続登記が済んでいるかどうか、まず窓口になる一人が法務局や司法書士に確認する
- きょうだい全員の「今の気持ち」を、否定せずに一度聞く場を作る
- 査定や相談だけは先に進め、客観的な判断材料を用意しておく
- 「今すぐ結論を出す」のではなく「次の節目までに何を確認するか」を決めておく
- 話し合いが平行線のときは、司法書士や不動産会社など第三者を交えることも検討する
相続登記未了
名義が故人のままでも、事前の自己負担なしでそのまま売却・手続きできます。
売却の「決済」と同時に相続登記を行うプロの手法(同時決済)を適用するため、売主様が事前に面倒な戸籍集めをしたり、高額な報酬を司法書士に先払いする必要はありません。
- 専門買取業者が専属の司法書士を速やかに手配し、売買契約の裏側で相続名義の書き換え手続きを並行して組み立てるため
- 登記に必要な「遺産分割協議書」の作成や親族間の書面やり取りも、業者のアドバイスのもとでスムーズに進められるため
- 本来先払いが必要な登録免許税や司法書士報酬などの諸費用を、売却代金(手元に入るお金)から相殺・精算できるため
- 2024年4月からの法律改正により、取得を知ってから3年以内に登記しないと10万円以下の過料(罰則)対象に
- 一般の不動産仲介会社は、相続登記が完全に完了して個人の名義になるまで売り出すことすらしてくれない
- 放置して次の相続が発生すると、いざ売ろうとした時に「見知らぬ親族のハンコ」が必要になり売却不能に陥る
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まとめると、名義変更・査定・きょうだいとの共有は、それぞれ独立して同時並行で進められます。どれか一つを終えてから次に進む必要はなく、今できることから着手するのが、次の節目を迎えるまでの負担を減らす一番の近道です。
実家のことは、これからも節目ごとに向き合うことになります
一周忌が終わっても、実家の問題がなくなるわけではありません。多くの方が、次のような節目でまた実家のことを考えることになります。
法要以外にも、こんな機会に実家のことを思い出す方が多いようです
建物の状態や権利関係など、ここで触れきれなかった悩みについては、
あなたの状況から探すのページでも詳しく整理しています。
まとめ
「とりあえず、話し合いのきっかけだけでも作ろうかな」
一周忌が終わり、次に親族が集まるのは三回忌かもしれません。その間にも、家は誰も住まないまま古くなり、意見がまとまらないままだと相続人はさらに増えていきます。データが示す通り、「話し合いが済んでいない」状態は長期の空き家化につながりやすい傾向にあります。
意見が完全に一致しなくても、今の実家がどれくらいの価値を持つのかを知ることはできます。一周忌という節目に、まずは現状を把握することから始めてみませんか。動くなら、今日が一番損の少ない日です。
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同じような状況の方が、どんな基準で相談先を選んでいるか。放置するリスクと合わせて整理したページです。






