一周忌に相続人同士で話し合いたい、共有名義の実家を売るタイミング

一周忌をきっかけに実家の話が出たものの、きょうだいの意見がまとまらないまま終わってしまった――そんな経験をした方は少なくありません。共有名義のままの実家は、時間が経つほど関係者が増え、決めるべきことも複雑になっていきます。

今回は、一周忌という節目に、共有名義の実家をどう話し合い、どう判断していくかを、データを交えてお伝えします。

「売る・売らない」の結論を急ぐ必要はありません。まずは、きょうだいそれぞれが実家に対してどんな考えを持っているのか、その違いを整理するところから始めても十分です。

目次

一周忌に、また「実家の話」が宙に浮いたとき

「今日こそ何か決まるかと思ったのに、また来年に持ち越しになった…」

一周忌の集まりは、法要の準備や進行に追われ、実家について腰を据えて話し合う時間が十分に取れないまま終わることが多いものです。相続人それぞれの考えが違う場合、その場で結論を出そうとするとかえって意見がぶつかり、「また今度」と先送りにされやすいタイミングでもあります。

共有名義のまま所有している実家は、この「また今度」が積み重なるほど、名義人一人ひとりの状況(住所変更、高齢化、次の相続など)が変わっていき、後から話し合おうとするほど関係者の把握や合意形成の手間が増えていきます。

例えば、きょうだい3人の共有名義だった実家も、そのうちの一人が亡くなって配偶者や子どもに持ち分が相続されると、共有者は3人から4人、5人へと増えていきます。顔を合わせたことのない共有者が増えるほど、連絡先の把握そのものが手間になり、合意形成のハードルは上がっていきます。

他の人はどうしているか

「うちだけがまとまらないわけじゃないんだ、と少し安心した」

国土交通省の調査によると、相続前に何らかの対策を実施していた世帯は全体の2割強にとどまり、大半は特に対策をしないまま相続を迎えています。

相続前の対策割合
対策あり23.0%
対策なし77.0%

対策の内容としては、以下の順に多く挙げられています(複数回答)。

  • 被相続人との話し合い:16.7%
  • その他の対策:4.3%
  • 遺言の作成支援:1.8%
  • 後見制度や家族信託の活用:1.3%

※出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント

対策があった家庭でも、その内容の多くは特別な手続きではなく「事前に話し合っておいた」程度のものです。一周忌のようなきょうだいが顔を合わせる機会に、多少でも意向をすり合わせておくこと自体が、後の判断をスムーズにする一歩になっているようです。

似たケースとして、共有名義の実家をどう手放したかをまとめた事例(【築30年・二次相続】米子市の空き家を売るには?売却相場・補助金・手放し方を解説)も、判断の参考になります。

こうした事例に共通しているのは、「全員が同時に同じ結論に達した」わけではなく、誰か一人が現状を確認し、情報を共有したことがきっかけになっているケースが多いという点です。意見の違いをいきなり解消しようとするより、まず事実(現状の価値や制度)を共有することの方が、結果的に話を前に進めやすいようです。

共有名義を放置するリスク

「今は仲が悪いわけじゃないけど、この先ずっとこのままで大丈夫なのかな」

共有名義とは、一つの不動産を複数の相続人が持ち分に応じて共同で所有している状態です。売却や大規模なリフォームなど、共有物の処分にあたる行為は、原則として共有者全員の同意が必要になります。

きょうだいの人数が少ないうちは意思疎通できていても、時間が経ち、共有者の誰かが亡くなって次の相続が発生すると、同意を取るべき相手の数そのものが増えていきます。同じ調査でも、相続前に対策をしていなかった世帯は、対策をしていた世帯に比べて「空き家のまま所有され続けている」割合が高いという結果が出ています。

相続前対策あり相続前対策なし
空き家のまま所有29.4%45.1%
買い手を募集していた13.1%7.5%

※出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント(相続前対策有無別の利用状況)

話し合いが後回しになるほど、共有名義はそのまま塩漬けになりやすい傾向がうかがえます。共有者が増えるということは、売却時に必要な同意書への署名・押印を集める相手が増えるということでもあります。遠方に住む共有者がいれば書類のやり取りに時間がかかり、連絡が取れない共有者が一人でもいると、手続きそのものが止まってしまうこともあります。

なお、共有名義のまま相続登記をしていない場合は、2024年から義務化された相続登記の対象にもなります。適用条件や期限は個別の事情により異なるため、詳細は司法書士に確認することをおすすめします。

一周忌のタイミングで話し合うメリット・デメリット

「今話すのが正解なのか、まだ迷っている」

一周忌のタイミングで話し合うメリット

  • 親族が顔をそろえる数少ない機会に、直接顔を見ながら意向を確認できる
  • 早い段階で査定額など客観的な情報を共有できれば、感情的な対立を避けやすい
  • 名義人が元気なうちに合意形成を進めれば、次の相続で共有者がさらに増える事態を防げる
  • その場で結論を出せなくても、次回までの宿題(誰が何を確認するか)を決めやすい

一周忌のタイミングで話し合うデメリット

  • 法要の場は、話し合いの場としては時間的にも心理的にも適さない場合がある
  • 一部のきょうだいだけで話を進めると、後から「聞いていない」という不満が出ることがある
  • その場で結論を急ぐと、かえって意見の対立が深まる可能性がある
  • 参加できなかった共有者がいる場合、改めて説明する手間が発生する

今後の選択肢

「全員が納得できる形って、本当にあるのかな」

共有名義のまま意見が割れている場合でも、選べる道はいくつかあります。

  • そのまま共有名義で保有を続け、利用方法を検討する
  • 共有者間で持ち分を売買・贈与し、名義を単独に整理する
  • 共有者全員の合意のもと、第三者へ売却する
  • 結論を急がず、まずは査定だけ先に取り、判断材料として共有する

特に見落とされがちなのが、3つ目の「まずは査定だけ先に取る」という選択肢です。共有者全員の同意が整っていなくても、査定自体は名義人の一人からでも依頼できる場合が多く、「今の実家がいくらで売れそうか」を先に把握しておくことで、その後の話し合いが具体的になりやすくなります。

お住まいの地域によっては、都道府県別の相談窓口も参考になります。(富山県の空き家売却相談窓口など)

今後の具体的なアクション

「何から手をつければいいのか、まず知りたい」

共有名義の実家について、次の集まりまでにできることは限られていません。まずは現状を整理するところから始めてみてください。

  • 共有者が何人いるか、現在の持ち分割合を確認する
  • 相続登記が済んでいるかどうかを法務局や司法書士に確認する
  • 査定額など、判断材料になる情報を先に共有者間で共有しておく
  • 連絡が取りやすい共有者・取りにくい共有者を整理しておく
  • 一人で抱え込まず、専門家(司法書士・不動産会社)に相談する
共有名義に関するお悩み

共有名義

結論

共有名義でも売却できるケースは多くあります。

名義や共有者の状況によって進め方が変わるため、最初に権利関係を確認することが大切です。

共有名義でも売却できる理由
  • 自分の「持分のみ」であれば単独でも売却可能
  • 専門の買取業者を利用してトラブルを避けて売却
  • 状況に応じた柔軟で特殊な売却の選択肢がある
解決方法
相続登記の状況を確認する
名義変更が未完了の場合、まずは現在の正確な登記状況を把握。
共有者全員の意思を確認する
全体売却を目指す場合は、他の名義人に売却の意思があるか確認。
通常の仲介と買取を比較する
じっくり高く売る「仲介」か、早期解決できる「買取」かを選択。
共有名義に強い業者へ相談する
複雑な権利調整や交渉実績が豊富な専門業者を頼るのが確実。
注意したいポイント
  • 共有者全員の同意が必要なケースが多い
  • 放置すると相続人が増え、話がまとまりにくくなる
  • 勝手に売却することはできない
※トラブルを防ぐためにも、早い段階で専門家に間に入ってもらうと安心です。

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実家のことは、これからも節目ごとに向き合うことになります

一周忌が終わっても、実家の問題がなくなるわけではありません。多くの方が、次のような節目でまた実家のことを考えることになります。

法要以外にも、こんな機会に実家のことを思い出す方が多いようです

建物の状態や権利関係など、ここで触れきれなかった悩みについては、
あなたの状況から探すのページでも詳しく整理しています。

まとめ

「話し合いは、今日じゃなくてもいい。でも、始めることはできる」

一周忌が終わっても、共有名義のままの実家は消えてなくなるわけではありません。次に顔を合わせるのは三回忌かもしれませんが、その間にも共有者の数や状況は変わっていきます。

今日、全員の意見を一致させる必要はありません。まずは現状を整理し、判断材料を揃えておくことが、次に話し合うときの負担を減らす一歩になります。データが示す通り、「話し合わずに放置する」ことは、その後の合意形成をより難しくしやすい選択です。動くなら、今日が一番損の少ない日です。

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同じような状況の方が、どんな基準で相談先を選んでいるか。放置するリスクと合わせて整理したページです。


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